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 北風と太陽

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 6 当番と4クラス分のせつない気持ち

[4]の続編)


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 6-1

 やる気まんまんの保健委員友里子でも、保健の実習補助に は不安と緊張を隠せなかった。

 いつもより早く目を覚ました友里子が、ベッドの中でつぶ やく。
 「今日が当番の日……」

 友里子の学校では、保健委員に実習授業の補助をする当番 が回ってくる。
 たいていは先生のアシスタントをするにすぎないが、保健 委員が学習内容を実践して見せる実習も年に数回ある。回数 が少ないので、在学中に実践の当番に当たることは1回か、 多くて2回しかないのだが、それだけに保健委員にとって重 要な仕事と認識されている。
 友里子も実践の当番をするのは初めてだった。

 今日に備えて昨晩は普段より念入りに身体を洗ったが、や はり不安が残る。女子の身体は男子より構造が複雑なのだ。 出かける前にもう一度シャワーを浴びておこう。そのために 40分早く目覚ましをかけておいたのだ。
  当番中に何が起きるかはそれ以上に気がかりだ。亜由子 先生は、普段通りの自然な姿を見せればいいと言っていた。 だが、友里子にはそういう経験がない。実習中に自分の身体 にどんな変化が起きるか全く予想がつかなかった。
 人と違う反応を見せてしまったらとても恥ずかしいのでは ないだろうか。

 目覚まし時計を見ながら考える。まだ時間はありそうだ。 やはり予行演習しておいた方がいいだろうか。
 「友里子もしてみるといいと思う」
 同級生の恵に以前そう言われたことがある。指先をしばら く見つめ、そっとパジャマの中に右手を差し入れてみる。
 そのとたん、スヌーズに入っていた目覚ましがまた鳴り出 した。不意打ちにぴくりと首をすくめ、必要以上にあわてて アラームを止める。
 「やっぱり、こんなこと……」
 友里子はもう一度右手を見つめ、ため息をついた。


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 6-2

 清楚な制服を身に着けた少女が黒板を背にして立っている。 透明感のある肌を桜色に上気させた頬が、制服のネイビーブ ルーに映える。

 「前回説明したように、今日は実習授業なので、2年の保 健委員小山さんに実習を手伝ってもらいます」
 亜由子先生が機材のセッティングをしながら友里子を紹介 する。
 「それじゃあ、小山さん、準備して」
 「はい…」
 かすれそうな小声で返事をしたが、友里子は動けないでい る。リラックスして、と言うように先生が友里子の背中にそ っと手を当てる。友里子は自分に言い聞かせるように小さく うなずくと、少し脚を開いて前かがみの姿勢を取った。
 スカートの前がめくれないよう、見るからに慎重な手つき でうしろからスカートのすそに両手を入れ、指先を下着にか ける。
 教室は静まり返っている。クラス全員の視線を全身に感じ て、出来るだけ事務的に準備を進めたい友里子の頬がますま す紅潮する。
 手と脚が小さく震える。視線がさらに集中するのを感じな がら、じりじりと慎重に白い下着をひざのあたりまでずり下 ろす。1秒足らずの静止の後、観念した表情で友里子が身体 を起した。

 緊張した表情で黒板の前に立つ友里子の姿は、入学案内の 制服写真のように端正だった。ただひとつ、白い下着がひざ 下まで引き下ろされている点を除けば。

 正面にしゃがみ込んだ亜由子先生が、手錠のような構造の 金属のリングを友里子のひざの上にカチリと取りつけた。金 属の冷たい感触に友里子が小さく反応する。
 「うん、もう少し脚を開いて」
 もう片方のひざにもリングが取りつけられる。両ひざのリ ングの間は長さ30cm程のアルミの横棒で連結されていて、大 きなスパナのようにも見える。
 横棒の中央には手のひらに入りそうな小型CCDカメラが取 りつけられている。亜由子先生がマウントのネジを緩め、カ メラが真上、つまり友里子のスカートの中を向くよう調整し ている。下着を降ろして無防備な友里子は本能的に脚を閉じ そうになる。が、金属棒に固定されたひざはもちろん閉じる ことが出来ない。

 黒板と窓の間にビデオモニターが設置されている。友里子 がモニターの方向から微かに顔を背けた。カメラのケーブル 接続を終えた亜由子先生が、モニターの電源を入れるのと同 時だった。


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 6-3

 「分泌液の量は個人差もあるし、精神的なものでも変りま す。分泌液が少ない女子の場合は、実習で性器を傷つけない ようにローションを使います」
 亜由子先生が学校サイズの特大プッシュボトル入りローシ ョンをクラスに見せる。
 「小山さんはどう?」
 「え? えと…」
 「小山さんは分泌液は多いほう? つまり、」
 亜由子先生がわかりやすく言い直す。
 「濡れやすいほう?」
 「……」
 「うん。わからなかったらしばらく様子見て決めようね。 じゃあ1班から」
 亜由子先生が1班の生徒を教卓に呼び寄せ、エタノールの スプレーで生徒たちの手を消毒する。

 モニターには抽象画のような青と緑色の模様が映っている。 緑色の部分は真下から眺めた友里子の太ももと下腹部のシル エットらしい。
 画面の端には、青、緑、黄色、オレンジ、赤と虹のように 色分けされた帯グラフがあり温度を示す数字が表示されてい る。温度分布を色で表現したサーモグラフィーだ。

 「それじゃあ」
 亜由子先生が1班の生徒を友里子の横に整列させながら言 った。
 「一人づつ順番に触ってみましょう。小山さんのスカート がめくれないよう注意して、下から手を入れます」

 最初の生徒は、1年生にしても小柄な男子だった。ちょこ んとおじぎをすると、友里子の正面にひざをついた。恐る恐 る、スカートの中に手を差し入れる。
 「あっ」
 声をあげたのは男子生徒の方だった。指先が触れた瞬間、 反射的に腰をぴくんと逃がしかけた友里子の反応に、思わず 手を引っ込めたのだ。
 遠慮がちな男子を亜由子先生がはげました。
 「大丈夫。触ってごらん」
 声を漏らしてしまわないように口をきゅっと閉じた友里子 が、保健委員としての決意を示すように、ひざまずいた男子 の顔に向かって腰をやや突き出す姿勢を取った。
 再び男子が太ももづたいに手を滑り込ませていく。友里子 が目を閉じて深呼吸する。
 「うわあ」
 男子が子供っぽい声をあげた。
 「やわらかい。ふわふわ」
 亜由子先生がうなずく。
 「もっと、探ってみて」

 モニターの映像に動きがあった。サーモグラフィの緑色の 下腹部に、温度の低い指のシルエットが青色に見える。その 指が撫でるように前後に動くと、黄色い筋状の模様が浮き上 がってくる。
 「あっ、めくっ……」
 友里子がおびえた声をあげ、男子の指が止まった。
 「…めく…れる……」
 「続けて」
 亜由子先生の指示に、指が開くような動きをすると、黄色 い筋の中にオレンジ色の部分が見え隠れした。ひくつきそう な足腰を、友里子は声を殺しながら懸命に抑制しようとして いる。
 指のシルエットが先端だけ遠慮がちにオレンジ色の部分に 割り込んでいく。男子が声を上げた。
 「先生、熱い。指が熱い」

 「もう少し手前のほうを触ってみて」
 モニターを見ながら亜由子先生が言う。
 「注意深く」
 「あっ」
 「んっ」
 男子と友里子が同時に声をあげた。
 「見つけたね。指先で軽くこすってみて。力を入れないで、 そう、もっとこきざみに」

 モニターの映像では、暖かい黄色が友里子の下腹部全体に 拡がり、その中央に口を開いたオレンジ色の亀裂の前端を指 のシルエットが盛んに前後している。

 しばらく様子を見ていた亜由子先生が友里子にたずねた。
 「そこは何て言うところ?」
 「……」
 聞き取れないほど微かな友里子の声に、励ますようなまな ざしで亜由子先生がもう一度質問する。
 「小山さん、そこは何て言うところですか?」
 保健委員である友里子はもちろん理解していた。実習授業 なのだ。クラス全体に聞こえるように答えなければならない。
 「…クリトリスです…」
 その調子、と言うように亜由子先生が大きくうなずく。
 「今、どんな感じ?」
 「…むずむず…するような感じです……」
 「気持ちいい?」
 「…よく判りません……」
 「続けて欲しい感じ? それとも、もうやめて欲しい感じ?」
 「……」
 「どうかな?」
 「…やめて欲しくは……」
 「小山さん、授業で習ったことを思い出して。性的な快感 を感じるのは悪いことだった? 恥ずかしいことだった?」
 「…いいえ……」
 「じゃ、正直に言ってみて」
 「…続けて…欲しい感じがします」
 「そう。その調子」
 「…もっと…触って欲しい感じがします」
 「うん。どこに?」
 「クリトリスです」

 「先生、指が」
 男子が亜由子先生に報告する。
 「何かに触った」
 男子がスカートから手を引き抜く。やめて、そんな表情で 友里子が唇を噛んだ。
 「ほら」
 男子の指先には透きとおった液体が絡んでいた。指を持ち 上げてクラス全体に見せながら、亜由子先生が質問する。
 「これがわかる人?」
 「えと、ちつぶん、ぴつ液です」
 クラス後方の男子が緊張気味に答えた。
 「うん、膣分泌液正解。性的興奮が始まったのね」
 「興奮してるんだ」
 最初の男子が感心したように言う。
 「そうよ。キミの指に触られて、興奮してきたの」
 「えーっ」
 歯抜けの笑顔を見せて男子が照れた。

 「興奮するとどうして液体が出てくるのか、わかる人」
 先生の問いに真面目そうな女子が挙手して答える。
 「ペニスを挿入しやすくするためです」
 「そうね。でも、挿入を助けるだけじゃないの。小山さん は保健委員だから、もちろん説明できるわね?」
 「…はい…」
 友里子の正面には最初の生徒に代わって二番目の生徒がし ゃがみこみ、スカートの中で指を使い始めている。
 「…挿入されたペニスに……刺激を与えて…んっ…」
 二番目の生徒の動きがより巧みなのか、友里子自身のペー スが上がってきているのか、震える吐息が友里子の言葉をた びたび遮り、身体がひくんと反応する。
 「刺激にもいろいろありますね。もっと判りやすく言う と?」
 亜由子先生が友里子の説明に補足を促す。
 「……性的な快感……です」
 「うん。そうね。続けて」
 「…ペニスに……快感を与えて…んっ…射精させるために ……性的に興奮した…ん…女性の性器は……熱くて…んん… ヌルヌルした状態になります…んんんっ…」
 指への反応を素直に見せはじめた友里子を眺めながら、亜 由子先生がつぶやいた。
 「この様子なら、ローションは必要なさそうね」

 「やめて」
 初めて友里子が感情的な声を出しかけた。
 「やめて……くださ」
 「いいの。これも学習だから」
 亜由子先生に言葉を遮られ、友里子は思わず目を閉じた。 目の前で、順番が終った最初の男子が、指先に残った友里子 の匂いを嗅いでいる。他の生徒にも嗅がせながら、何度も確 かめている。
 「嗅いでごらん。変な匂いかな?」
 クラス全体に聞かせるように、亜由子先生が問いかける。 生徒たちがあいまいな笑顔で首を振る。
 亜由子は目を閉じたまま、そのやりとりと、指の動きが送 り込んでくる刺激とにじっと耐えている。
 「男子にも男子の匂いがあるでしょ」
 何の匂いを思い出したのか、亜由子先生の言葉に数人の男 子がちょっと赤面した。

 スカートの中では後続の生徒の指がうごめき続けている。 モニターで指の動きを確かめるまでもなかった。目を閉じた 友里子が指のリズムに感覚を集中させつつあることは、表情 と背筋の反応から明らかだった。


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 6-4

 「音も聞いて見ましょう」
 スピーカーからポコンというノイズが聞こえ、ボリューム を調整していくと、カメラの内蔵マイクに拾われた音が教室 全体に響きはじめた。
 「わあ、音立ってる」
 スカートの中に秘められた女の子の仕組みを指がなぞるよ うに往復するたび、分泌液を潤ませた友里子の身体が粘擦音 を立てる。
 切れ込んだ谷間から友里子の潤滑液をすくい上げ、小さな 突起を包皮ぐるみで攪拌する音。指のうごきに友里子が泡立 っていく音。
 生徒が交替するたびに、新しい指に友里子が反応し、違う リズムで友里子が鳴った。

 ぎこちない手つきの生徒が多いものの、手慣れた動きで友 里子を追い立てる女子もいる。
 「んんんっ……せん…せい……」
 「痛いの?」
 友里子が首を振る。
 「…すごく……ゆびが……」
 友里子の反応を楽しむように、指の動きが変化する。リズ ム、強さ、動き、場所、すべてが意表を突いてくる。
 新しい感触が伝わるたび、ヒクつくように腰を跳ね上げて しまう自分の反応が情けないというように、友里子がうっす ら涙目でこぶしを握りしめる。
 「ゆびが、いいのね。先生、判るわ。すごく上手」
 指使いを亜由子先生に誉められて、眼鏡をかけた小柄な女 子があどけない笑顔ではにかんだ。
 友里子が指先に熱く絡めてくる液体が、潤沢な粘音をスピ ーカーから響かせながら白濁していく。

 「説明したように、今日は性的興奮の観察をします。オー ガズムについては来週実習します。性的興奮が収まるといけ ないので、オーガズムが来そうになったら、いったん指を止 めてください」
 頃合いをはかりながら亜由子先生がクラスに注意事項を説 明した。
 「小山さんはオーガズムの経験はあるの?」
 「……」
 友里子は無言で首を振った。
 「オナニーもしたことない?」
 「…ありません…」
 「未経験だと、自分では判らないかも知れないわね。先生 が見ててあげるから」

 「先生。」
 ありったけの勇気を振り絞ったという表情で、ひとりの男 子が質問した。
 「えと、性的に、興奮する場所が、ほか、にも、あります か?」
 「あります。探してみてごらん」
 質問者と順番を終えた生徒たちが友里子の左右に回ってス カートに手を入れた。友里子は本能的に両手で防ぎかけるが、 保健委員としての使命感がその手を止めさせる。
 「わあ」
 「動いた」
 「キュッってなった」
 前後からスカートに手をさし入れられた友里子が、逃げ場 を求めるように腰をぐねらせる。質問した男子は特に真剣な 表情で友里子をほぐすのに熱中している。
 「小山さん、今どんな感じかな?」
 亜由子先生が友里子に報告させる。
 「…痺れるような、感じが広がっていきます」
 「どこから?」
 「…お…しりからです」
 根気よく友里子の門を揉みほぐしている質問者に、亜由子 先生がたずねた。
 「きっとキミは、以前からアヌスに興味があったのね」
 照れた表情で男子がうなずく。
 「みんなの勉強になるわ。もっと触ってあげて」

 亜由子先生がクラスに注意を促した。
 「腰もよく観察しましょう」
 「動いてる」
 生徒たちの指から逃れるように、ゆるやかにぐねっていた 友里子の腰が、いつのまにか周期的な前後動を始めている。 次々と交替する生徒たちの手を迎え入れるように動き始めて いる。
 「性的な快感を求めている動きね」
 「僕の手じゃ快感が無いってことですか?」
 「ううん、もっとして欲しいってことね」
 「がんばります」
 「もっと指を細かく振動させてみて」
 「はい」
 「……んんっ!……」
 眉根を寄せて友里子がガクンと首を振り上げた。声をあげ るのを必死でこらえている表情だ。
 「わあ。苦しそうです」
 「苦しくないわ。快感を感じてるの。もっとしてあげて」

 かたくなに自制していた友里子が、ついに声をあげた。先 生に助けを求める。
 「しがみつきたい。何かにしがみつきたい気持ちです」
 「床に倒れたりしたら大変だわ」
 亜由子先生は下級生としては大柄な男子生徒を友里子の横 に立たせ支えさせた。
 「先生、なんか垂れてきた」
 生徒の一人が友里子の脚を指差し、生徒たちの視線が集ま る。ひざの内側を幾筋かつたい落ちてくるものがある。
 クラス全員に流れ落ちる体液を観察されながら、友里子自 身はそれに気づく様子もなく、男くさい制服の匂いを嗅ぎな がら夢中で男子の肩にしがみついていた。

 「止めて、指を止めて」
 ふいに、亜由子先生が生徒の行為を止めさせた。
 「え? はい」
 少し驚いた顔で、男子生徒が腕まくりした手を友里子のス カートから引き抜く。
 「さっき説明したけど、今日は性的興奮の実習だけ。オー ガズムはあとの授業で実習します」
 「じゃあ、いま……」
 「そう。小山さん、オーガズムの手前だった」
 肩で息をしている友里子の顔を亜由子先生が覗きこんだ。
 「そうでしょ?」
 友里子は首を左右に振りながら、声も出せず唇の動きだけ で答えた。
 ……わか…りません……。
 「未経験だと、わからないかもしれないわね。でも、覚え てね、今の感覚」
 亜由子先生がやさしくさとすように言う。
 「あと4班、残ってるんだから」
 友里子は、かくんかくんとうなずくだけで、亜由子先生が 指差した順番待ちの生徒を見やる余裕もなかった。生徒たち に先生が言った。
 「1、2分待って、少し落ち着いたら再開します」

 再び、指に翻弄される体液音がスピーカーから溢れ出して いる。
 「…ぅ……ぅ……ん……ぅ……」
 友里子は震える声を絶え間なく喉にくぐもらせ続けている。 生のあえぎ声を漏らすまいと、かたくなに唇を閉ざしながら。
 「…せん…せい……」
 突然、友里子がおびえた子供のような声を漏らした。閉じ ることの出来ないひざを小さく震わせている。
 「…き…ま…した……」
 「さっきと同じ感覚?」
 「……はぃ……んっ…」
 顔をしかめて声を挙げるのをこらえる。さくらんぼ色の唇 が噛み締められて白くなる。
 「…んん…」
 「声出していいのよ」
 目を閉じたまま無言で首を振る。男子生徒が亜由子先生を 見上げてたずねる。
 「とめますか」
 慎重に友里子の反応を観察しながら、亜由子先生が答える。
 「ううん。まだ多少余裕があるわ。もう少し続けて。とめ る時は先生が教えるから」
 「はい」
 友里子の温度があがっている。サーモグラフィーは下半身 全体が黄色になり、オレンジと赤の花弁を青緑の指形が小刻 みにまさぐっている。背後から差し入れられたもう一つの手 が、友里子の排泄器に添えられ根気よくゆるゆると蠢いてい るのも見て取れる。
 苦痛に変りそうな腕のだるさに顔をゆがめながら、男子が 腕の微往復の速度をあげてくる。マイクに拾われた友里子の 液音が教室に飛散する。
 支える男子にしがみついた友里子の指先が食い込む。
 伸び切った両脚にさらに力が入る。
 髪を揺らして首を振り上げる。
 声を殺したまま、叫び声の形に友里子が口を開いた。
 「今! とめて!」
 叫んだのは亜由子先生だった。先生の勢いに応えるように、 男子がスカートから素早く手を引き抜く。
 「はんっ。」
 小さな悲鳴をあげて、引き抜かれた手を求めるように、友 里子が腰をしゃくりあげた。
 「んんっ。んんんっ」
 執拗に繰り返される指の刺激から、許されないオーガズム の危険から、解放されたはずの友里子が、泣き出しそうな苦 悶の声を漏らした。
 「もっと、続けて欲しいのね?」
 「……は…… ぃ……」
 震える声でぎりぎり答える。
 「そういう欲求をなんて言うんだっけ?」
 「……」
 「しっかりして。上級生だし、保健委員でしょ。学習した よね」
 しがみついた支え役の男子の肩から、かろうじて顔をあげ、 定まらない視線でクラスに報告する。
 「…せい…よく…です」
 「そうね。今、性欲を感じてるのね」
 「…はい…わたしは…いま……せいよくで……いっぱいで す……」
 指をねだるように友里子の腰が前後にうごめき、プリーツ スカートを揺らしていた。

 一人で支えるのが難しくなってきたと判断した亜由子先生 は友里子の両側に男子を立たせ、肩を組むように支えさせた。
 「小山さん、危なくなったらちゃんと言うのよ」
 友里子は背筋をそらせて体内に噴き上がるものに耐えたか と思うと、ひざをを折って崩れ落ちそうになる。両脇の男子 が必死で支える。時おり、亜由子先生が声をあげる。
 「とめて!」
 そんなやりとりが何度も繰り返された。

 両脇の男子は支えると言うより、もはや暴れるように腰を ふりたくる友里子を押さえつけている。
 サーモグラフィは、友里子の腰の動きに同期してオレンジ 色と赤の残像を激しくシェイクしている。泡立ちながら指に 絡み着く粘液の音が過剰なボリュームでスピーカーから流れ て、割れ入れ、こすり上げ、すり回す指の動きを克明に表現 する。
 大きく揺れるスカートのすそから太ももまで垣間見せてい る両脚にきゅっと力が入るたびに、幾筋も伝い流れる友里子 の本気の液体がキラリと光って見える。

 「今、言わなかったね。危なかった。あと4、5秒続けて たら、オーガズムまで行くところだった。私も見てるけど、 ちゃんと言ってね」
 「……すみ…ません……こえが……だせなくて……」
 「とめて欲しくなかったのね」
 「……わかり…ません……わ…たし……」
 「いいの。身体がイキたがるのは仕方ないわ。でも、今日 は授業のためだから。最後まで我慢して」

 結局、女子の身体の感覚と反応を熟知した亜由子先生の精 緻なコントロールで、ギリギリ寸前で頂点をきわどく回避し ながらクラス全員に順番が回り、1時間目の授業は無事に終 了した。
 亜由子先生が友里子を励ました。
 「やっと1クラス終ったわね。小山さん、あなたは感受性 が強いみたいだから大変だと思うけど、あと3クラス頑張っ てね」


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 6-5

 4時間目の授業が終った。
 深手を負った怪我人のように、最後のクラスの男子生徒に 二人がかりて両肩を支えられて、友里子は保健室へ運ばれた。 焦点の定まらない目で、下着はひざ下までずり落ちたままだ。

 「あっ、椅子に座らせる前に……拭いてあげないと」
 保健室のデスクの前で、友里子を支えて立っている二人の 男子生徒を亜由子先生がねぎらう。
 「ごめんね、手伝ってもらって。もうすぐ終るから」
 「全然大丈夫です」
 「体重軽いです」
 「ううん、そういうことじゃなくて」
 二人に亜由子先生が笑いかける。
 足元がふらつく友里子は二人に体重をあずけたままだ。不 規則な呼吸を繰り返しながら、うわ言のように、友里子の唇 が微かに動いていて、声にはならない熱い吐息が、揺れ広が る髪の毛と共に二人の耳元にふりまかれている。
 友里子の足元にしゃがんだ亜由子先生の目の前で、二人の 制服の股間が邪魔そうに突っ張っている。
 「二人とも、待ち切れないでしょ」
 ソックスまで雫が流れている友里子の両脚の内側をタオル で拭き取りながら、亜由子先生が言う。タオルの感触が内股 に伝わるたびに、友里子の脚が吐息と共にひくっと震える。
 「いま終るからね。そしたら、トイレいってらっしゃい」
 「え?……」
 「トイレ?……」
 「実習授業のあとトイレに直行する子は結構いるわよ。育 ち盛りだもん。食欲も性欲も、おかわりするくらいで普通よ ね。授業の復習になる点が多いから、先生は大歓迎だわ。キ ミたちも、」
 ごく当然のこと、という口調で亜由子先生がさらっと言う。
 「早く小山さんで、思い出しオナニーしたいでしょ」
 「えと、えと……べ」
 「別に……そ」
 「そういう……つ」
 「つもりは……」
 しなだれかかる友里子の心地よい重さを支えながら、二人 がしどろもどろになる。
 「そうなの」
 友里子の世話をしている亜由子先生は、それ以上深追いし なかった。
 ティッシュを何枚も取り出して、友里子のスカートの中に 手を入れる。
 「ひゃ。……ふぁ。……ふ。……」
 優しくティッシュが押し当てられるたびに、友里子が鋭敏 に反応する。
 「…と…まらない…わたし…止まらない……」
 震える吐息のような声が友里子の唇から漏れる。午前中ず っと、ぎりぎりの状態に置かれていたのだから無理もない。
 「大丈夫。保健室で休んでいれば落ち着くから」
 そう慰めると、拭き取りを切り上げた亜由子先生が、友里 子の下着を引き上げ衣服を整えてやった。これで椅子に座ら せることができる。二人に合図してそっと友里子の腰を落と させると、脱力した友里子の身体がくにゃりと椅子に乗っか った。

 「……わたし…ちゃんと……」
 友里子が不安げに亜由子先生を見上げた。微かな声は保健 室でなければ聞き取れなかっただろう。
 「……当番……できましたか?」
 「もちろんよ」
 亜由子先生が、友里子の座った椅子をくるっと回転させ二 人と向かい合わせる。
 「みんな授業のテーマがよく理解できたと思うわ。ほら」
 友里子の両手を取り、手のひらを二人の股間に触れさせた。
 「ぁ」
 「あう!」
 「うわ!」
 同時に声をあげながら、二人は前かがみになって腰を逃が そうとする。が、亜由子先生がそれを許さない。

 「…これ……わたしで……」
 亜由子先生がうなずく。
 「そう。二人ともすごく硬くしてるわね。ほら、完全勃 起」
 硬さを確かめさせるように、亜由子先生が友里子の手のひ らを突っ張った部分に押しつける。
 「形が伝わる?」
 布地越しに二人の形状を感じ取って友里子がうなずく。
 「…おおきい……」
 「二人とも、まだ成長期だから、これからぐんぐん大きく なるわよ。ほら、こうすると、」
 押しつけた友里子の手を亜由子先生がゆるゆると動かす。 手のひらが二人の先端裏の一番敏感な部位を包むように、正 確に押し当てられている。
 「…ぁっ…」
 「中で跳ねるわね。キュンキュン反応してる。あなたの頑 張りで、今日の学習事項がよく伝わった証拠」
 「…よかった……」
 微かに安堵の声が漏れる。
 必死で耐えていた二人が声をあげた。
 「あうう。先生……それ以上……」
 「…触られると……もう……」
 「あら、ごめんなさい」
 言葉とは裏腹に急ぐ気配もない。亜由子先生は脈動の感触 を友里子に味わわせるかのように、さらに数秒わざとらしい 間合いを取ったあと、ようやく友里子の手とそれに押え込ま れた二人の股間を解放した。

 友里子の上気した頬に乱れかかる髪を整えるように撫でな がら、亜由子先生がたずねた。
 「やっと終ったわね。どうだった?」
 「…なんだか…すごくつらくて…すごく…せつない気持ち です……」
 恐らく無意識の動作だろうが、友里子は両脚を交差させる ようにきつく閉じて椅子の上で腰をもじもじとすり動かして いる。
 「…ハートが壊れそうです…わたし…もう…どうしていい のか……」
 「どうしたらいいのか勉強したはずよ。保健委員がそれじ ゃ困るわ」


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 6-6

 「わたし、教室に戻らないと……午後の授業に……」
 立ち上がろうとした友里子が、よろけて机に右手をついた。 支えのない左側に身体が傾いて、あわてて前のめりに左手をつ くと同時に友里子が小さな声をあげた。
 「ふあ。」
 友里子の下腹部に事務机の角がめり込んでいる。漏らした 悲鳴は鼻にかかった響きを帯びていた。

 よろける身体を支えようと二人が友里子の両腕をつかんで 上半身を起そうとする。が、それはかえって友里子の体重を デスクの角に乗せる形になった。

 机の角に乗り上げた友里子の丘を、心地よい体重がじゅん と押し潰す。友里子の体内で快感がしぶきをあげて噴出し、 全身に波紋を広げていくのが隠しようもなく見て取れる。
 白い首筋を見せて友里子の細いあごが上がり、授業中あれ ほど自制していた声が友里子の唇を開かせた。
 「ぁぁあっ。」
 とまどう二人に代わって亜由子先生が身体を支え、友里子 が腰を使いやすいよう手足の位置を決めてやる。微かな身動 きが机に押しつけられた部分に伝わるたび、友里子が反応す る。快感を拒絶するように首を振りながら、悦びを隠せない 吐息を漏らす。
 この奇妙な姿勢で静止したまま友里子は目を閉じている。 最後のとまどいを突き崩そうと、亜由子先生が両手を腰に添 えてデスクにこすり付けるように両手でグラインドさせてや る。抵抗も見せず友里子は素直にアシストに従った。
 腰の動きを見ながら亜由子先生がそっと手を離した。友里 子は動き続けている。目を閉じたまま、声をあげて友里子は 熱中し始めた。

 二人の一年生は友里子の両脇で、自慰にふける友里子の姿 をぼう然とながめている。
 力なく開かれた唇からジューシィなピンクの舌先が垣間見 える。ゆらゆらと上半身を前傾させて体重をかけると、首筋 まで澄んだ桜色に染まった肌に髪が振りかかる。時おり何か を求めるように腰を擦り付け、制服のすそを揺らして下品な ほど本能的なグラインドを見せる。
 ほどなく、友里子が押さえ切れない様子の声を漏らした。
 「……んんんん……くくく……」
 友里子の両足がつっぱるように床から離れた。
 一瞬、すべてが静止する。
 全員が呼吸を止めて見つめる。
 友里子の頭がかくんと揺れ、髪のシルエットが逆光にきら めくと同時に小さな声が漏れた。
 「くぅン」
 ほんの小さな声だった。だが、亜由子先生はもちろん、突 っ立ったままの二人にもその声の意味がはっきり判った。
 今、目の前で、瞳を閉ざしたままふわりと唇を開き、小さ な痙攣に震えている少女は、生まれて初めての絶頂感を全身 で味わっている。
 「んっ、んんっ」
 後続の発作に耐えるような声のあと、何度も深く息を吐く と、友里子は元の椅子にへたり込んだ。机に突っ伏して両腕 に顔を埋める。

 亜由子先生が穏やかに微笑んで、声をかけた。
 「おめでとう。いまのが、初体験ね。自慰もオーガズム も」
 少し間を置くが、返事がない。亜由子先生がうなずく。
 「気にしなくていいのよ。他の子も、この当番の日は我慢 出来なくなっちゃうんだから。何回しても、恥ずかしくない からね」
 たっぷり30秒は沈黙したあと、机に伏せたままの友里子が 小声で答えた。
 「……はい……」
 「背筋がぞくぞくしたでしょ」
 「…はい…」
 「身体の中のリズムを感じた?」
 「…はい……中がトクン、トクンって…」
 「もっとぞくぞくしたい?」
 「……」
 「正直に答えて。身体がもっと欲しがってる?」
 「…はい……ほしい…きもちです…」
 「うん。それで自然だよ。保健委員だもん、わかるよね」
 「はい」
 「今度はベッドでしようか。そのほうが、思いっきりでき るでしょ」
 「はい」
 亜由子先生は、顔を伏せた友里子を抱えるように立たせて ベッドに横たわらせると、静かにカーテンを閉めた。
 「じゃ、続けて」

 カーテンの中が静かだ。何か、ためらっている感じの友里 子に亜由子先生が声をかける。
 「気にしないで。音が出るのが自然だもん。ここは保健室 だから、どんなに音立てても平気だよ」
 「はい」
 素直に返事をすると、かすかに、だが明らかにそれとわか る音で、友里子の覚えたての指が水音を刻み始め、深く安堵 したようなため息が聞こえた。オーガズムの快感を覚えて一 層切実になった友里子の欲求が、指先の動きに癒され溶けて いく吐息に違いなかった。
 ため息は小さな声に変り、友里子のリズムと反応をファル セットでなぞっていく。

 「今日はどうもありがとう。すごく助かったわ。さってと。 よかったら、キミたちも、そこの椅子に座れば?」
 二人に亜由子先生が声をかける。
 「先生、しばらく後ろ向いててあげるけど?」
 亜由子先生が二人の前にティッシュの箱を置く。
 「……」
 二人は答えをためらったまま、顔を見合わせた。三人とも 黙り込んだ保健室がいやに静かになる。昼食を取る生徒たち のざわめきがはるか遠く、残響のように聞こえる。
 ひとつだけ間近からリアルな音が聞こえ、嫌でも聞き耳を 立ててしまう。目の前のカーテンの中で、生々しい粘液音が 友里子の吐息と声を攪拌している。
 二人の目の中を探りながら亜由子先生がたずねる。
 「聞こえるよね、小山さんの音。キミたちもう、響いてき てるんでしょ。ズキズキしてるんでしょ、頭の芯まで」
 二人の目の前で、亜由子先生の右手が軽く握った形を作る。
 「1回リセットすれば?」
 微笑みながら手を上下にシェイクして見せる。無邪気な笑 顔だが、しなやかな手の動きがリアルだ。さり気ない手首の ひねりや指先の動きが男子の弱点を正確に突いていて、亜由 子先生がどれだけ多くの生徒に実技指導してきたかがよくわ かる。
 「気持ちがすうっと楽になるよ」
 「……いえ……」
 「……平気…です……」
 「本当? やり方わからなかったら教えてあげるよ? 一 応知ってるだろうけど、一番いいやり方って、人それぞれ違 うものなの」
 授業中と同じ屈託のない笑顔で、亜由子先生が二人を見つ めた。
 「先生、探してあげようか? キミたちの、一番いい部 分」


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 6-7

 先生と二人のやりとりが聞こえているはずの友里子の吐息 のテンポが上がってくる。水音が時おり、ぴちゅっ、ぴちゅ んと勢いづく。
 「ね? 小山さんも喜んでる。どうする?」
 「……それ…は……」
 「……だい…丈夫…です……」
 「そう? 別に、無理にすることじゃないけど」
 そう言いながら一方的に二人の上半身を脱がしていく。
 「はい、両腕上げて」

 亜由子先生が二人のベルトに手をかけると、手際よくズボ ンを足元に降ろし脱衣カゴに放り込んだ。
 「はいパンツも脱いで」
 「で、でも……」
 「パンツは……」
 下着にシルエットをくっきり浮き立たせながら、二人はパ ンツのゴムを握りしめて優柔不断に抵抗する。指と手のひら を二人に見せびらかすようにアルコールスプレーで消毒しな がら先生がつぶやく。
 「往生際が悪いわね」
 亜由子先生が一人の背後に回ると、股間をガードするよう に覆う少年の手の下に両手を滑り込ませた。下着の上から少 年の状態を探る。
 「っあ。」
 「もうギリギリね。こんなに込み上げてる」
 背後から身体を密着させたまま、少年の手を押しのけるよ うに、亜由子先生の指先が下着のふくらみを根元から這い上 がっていく。
 じりじりと慎重に指を進めながら、亜由子先生が指の腹で 少年の状態を探る。
 「…もう…それ…いじょおぉぉ……」
 少しずつ抵抗を押し返しながら、少年が死守する先端部に 指先が近づいていく。
 「中で漏らすとパンツ汚しちゃうよ。教室に戻れなくなっ ちゃうよ」
 その言葉に少年の抵抗が少し弱まる。
 「もう限界でしょ? パンツから出すよ?」
 返事を待たず下着のスリットに手をさし入れる。
 「ほら、こんなベトベトにして」
 包皮から先汁を溢れさせた少年のシンボルをつまみ出す。
 「…ぁあっ……そこわっ…」
 さり気なくつまんだ亜由子先生の指先は、しかし、くびれ の裏側に位置する最も鋭敏なポイントに正確に触れている。 少年は両手で自分の両ももをぎゅっとつかみ、歯を食い縛っ て内圧に耐えようとする。
 「せんっ…」
 亜由子先生が少年をつまんだまま小指を立てた。小指の先 が下着のスリットに差し込まれ、袋のポジショニングをそっ とさぐる。その瞬間。
 「…せいっ!」
 それだけで少年は叫び声をあげ、鋭い勢いで精液を噴いた。
 少年の先端がギリギリの状態で上下にヒクつく。苦悶の表 情で下腹部に渾身の力を込め、次の噴出を食い止めようとし ている。

 「始まっちゃったね」
 特別なことでもないという口調で、亜由子先生は背中から 回した手でペニスを軽くつまんだまま、腰をグラインドさせ 少年を背後から突いた。少年のペニスが押し出されて先生の 指の間をぬるりと滑る。
 「うあ。」
 最初の一突きで少年は叫び声をあげ、びゅくっと飛ばした。
 「我慢しないで。全部だしちゃお」
 先生の指から送り込まれる快感にのけぞった少年が先生の 肩に頭を預け、先生と頬が触れ合う。
 頬を擦り合わせたまま射精律動に合わせるように亜由子先 生の腰が少年の下半身を突く。しなやかに絡みつく指が痺れ るような射精感をペニスに深く擦り込み、最後の一滴まで放 出を促す。
 「ほら、こんなに飛ぶ」
 「くぁ。」
 友里子に聞かせるように亜由子先生が吐液の回数をカウン トする。
 「ほらっ、ほらっ。4回、5回」
 「あぁっ。うあぁ。」
 ストロークが効くたび、まだ少年らしいすべすべした両脚 に筋肉がきゅっと浮き出る。
 「6回、7回。ぞくぞくしてる? 背中が震えてる」
 背後から密着した先生が耳元でささやく。空いた手の指先 と爪先をひらひらと使い分けて両脚からわき腹あたりをなぞ り回し、少年の未知の性感帯を掘り起こしていく。
 「んんっ。せんっ…もう……でなっ…」
 「まだ。まだいける」
 人さし指を軽く鈴口に絡めながら、先生の両手が雑巾を搾 るように先端と茎にぬるっぬるっと逆回転を加える。
 「あぁっ。はああっ」
 「ほらっ。またびゅくんって。8回」

 カーテンの中の友里子が吐息で留め切れず声を漏らし始め ている。少年の叫びを聞くたび、その声があからさまな快感 を伝えるものに変っていく。友里子の粘音に前のめりの3連 符、5連符が散りばめられる。

 もう一人の少年が、亜由子先生に搾られるクラスメートを 泣き出しそうな顔で見つめている。片手で先生が手招きする と、素直に下着を降ろし鋭い角度で脈打つペニスを差し出す。
 彼もひと触れで充分だった。先汁が流れる裏筋を人さし指 でヌルっと撫で上げてやるだけで、先端を跳ねさせて精を飛 ばした。
 暴れる茎を指で押さえ、手首のスナップをくりゅっ、くり ゅっと効かせ追い打ちをかける。初めて経験する異性の指の 刺激に女の子のように内股になる。その新鮮な感触に少年が 唇を噛んで細身を脈打たせる。
 「3回、4回、5回。すごく多い。昨日してないね」
 「んっ。んんっ。んンっ。」
 押し殺せない声で、生理的リズムを一拍ごとに表現しなが ら、指に操られるように少年がしぶく。

 少年たちの射精のリズムが、友里子の発情した突起と泡立 つクレバスにとどめの突きを入れ、泣き声をあげさせる。
 「いやぁ……いやぁぁぁ」
 二本の脈動に追い上げられて友里子が最後の声をあげた。
 「……ぁ…もぅ……来ちゃぅ……来ちゃ……はぁぁぁ。」
 絶え間なく聞こえていた友里子の声と吐息がテンションの 頂点で途切れ、空白の1秒後、ぎゅっくんとひときわ大きく ベッドがきしんだ。
 「……んっ……んンっ……んっ……」
 生涯2回目の絶頂に揺さぶられる友里子の不随意なリズム を聞きながら、二人はぼう然と射精の快感に浸った。亜由子 先生がつぶやく。
 「まだ、恥ずかしくて言えないのね。イクって」

 亜由子先生が二人の邪魔な下着を完全に脱がせて、オーガ ズムに達した二本のペニスに柔らかいストロークで仕上げの 快感を塗り込めている。
 「はい、どうだったかな?」
 二人は何も答えられないでいる。亜由子先生は優しく手加 減していたが、初めて女性の指を知った二人にはそれでも強 烈だったようだ。

 最後に先生がいたずらっぽい笑顔で指の力を強めて茎を搾 りあげる。
 「うあ。そんなに…」
 「搾り……出されると…」
 「くすぐったい?」
 「へぁふ」
 「ほぇぇ」
 射精直後で過敏になった二人が悲鳴をあげ、情けない姿勢 で腰をひくつかせる。
 指の輪が上下するとヒュクンとペニスが脈打ち、白濁した 雫が先端に溢れ出る。立てた人さし指で鈴口をなぞり粘度の 高い水滴をすくい取ってはさらに搾る。

 ようやく息が整った友里子がカーテンの中から声をかけた。
 「先生、二人は……」
 「うん。大丈夫。二人とも無事終了。するでしょ? 男の 子の匂い。床にいっぱい飛び散ってる」
 ベッドに近づきながら亜由子先生がたずねる。
 「カーテン開けて見てみる?」
 「え?」
 「え?」
 友里子と二人が同時に声をあげる。
 「キミたちは、さっき小山さんの見てるんだから、これで 平等よ」
 友里子にも声をかける。
 「もし脱いでたら、身体に毛布に掛けてれば見えないから。 いい?」
 先生が指先をかばうように小指にカーテンを引っかけて開 く。
 制服の友里子が必要以上に毛布にくるまって恐るおそる二 人のほうに視線を投げた。
 二人とも激しい射精と最後の搾り上げで力が抜けたように 床にひざを突き、床にへたり込んでいる。なぜかひどい失敗 でもしたように落ち込んだ表情だ。
 両手で股間を覆っているものの、靴下と上ばき以外全裸の 二人を友里子は直視できないでいる。

 「ほら、こんなとこまで飛んでる」
 亜由子先生が床を指差した。二人がいる窓側から保健室を 横切ってベッド手前まで長短の飛跡が伸び、思春期の勢いを 見せつけている。
 「そこからここまで飛んだんですか」
 「そう。そのへんが最初のひと噴き。信じられない勢いよ ね。射精の瞬間を観察してみたくなるでしょ。見たら絶対感 動するから」

 細くなめらかな亜由子先生の指に、恥ずかしいほどの粘り を見せて先程すくい取った精液が絡みついている。少年たち の体液の感触を試すように、左右の指先をそれぞれ動かして みる。
 「うん。粘りも色も問題なし」
 まるで教室で説明するように、友里子と顔を上げない二人 の方に指先を見せる。拡げた指の間をしぶとい白濁液が繋ぐ。
 「こっちの彼は、」
 左手指にしっかり絡みついたゼラチン状の白滴を見せなが ら言う。
 「すごく濃い。指から垂れ落ちない。だいぶ溜ってたね」
 左側の少年が無言のまま耳まで赤くなる。
 「量は、」
 床に長く伸びた飛跡から視線を移した亜由子先生がうなだ れる二人を見つめる。
 「いつもより、多いかな?」
 羞恥と動揺を隠せない二人に先生が言った。
 「二人とも、顔を上げて。観察されるのは初めてかもしれ ないけど、恥ずかしくないよ。キミたちが元気に発育してる 証拠だもん」
 先生が指先に鼻を近づける。
 「匂いだって、」
 恥じ入る二人を励ますように、亜由子先生が匂いを嗅ぐ。
 「ちっとも変なニオイじゃない」
 ようやく先生を見上げた二人に笑顔でうなずきながら、す んすんと匂いを吸い込こんでみせる。
 「あなたも嗅いでみる?」
 見つめる友里子が返事をする間もなく、ベッドに近寄り指 先を差し出す。
 「これが彼ので、こっちが向こうの彼の」
 片手ずつ友里子の目の前に差し出し白濁を糸を引かせて引 き伸ばしてみせる。濃い存在感を放つ男子の体液に友里子の 目が釘づけになる。
 「ほら、二人の中に溜ってた、男子の匂い」
 友里子がおずおずと鼻を近づける。室内に漂う青臭い匂い より遥かに生々しい少年臭がツンと鼻を突き、友里子はすぐ に顔を引っ込める。が、何かそうせずにはいられないように、 少しずつ繰り返し匂いを確かめている。
 「どう?」
 「想像してたより、植物っぽい匂いです」
 「うん。独特よね。でも二人とも健康そのもの。授業でク ラスのみんなにも観察させてあげたいわ」
 ぐったりしていた友里子の下半身が、毛布の中ですっと縮 こまる。友里子の反応に目を止めた亜由子先生が言う。
 「でも、精液の匂いを目の前で嗅いだら、きっとオナニー したくてたまらなくなっちゃう女子がいるわね。男子がイッ た証拠だもの」
 亜由子先生が二人のほうに目を向ける。
 「たぶん、嗅がれた男子にもそういう子がいるはず」


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 つづく。

 

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